上の階のドンドンはわざと?見分け方とNG行動、解決法

「上の階から響くあの音は、絶対にわざとだと思う」
「こちらも天井を叩いて、分からせてやりたい」

このように感じている方は少なくありません。しかし、上の階のドンドンという音をわざとだと決めつけて動くと、かえって状況がこじれるおそれがあります。

この記事では、600人以上の騒音相談を受けてきた私共が、わざとかどうかの見分け方、避けるべき行動、最も安全な解決方法をお伝えします。

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上の階のドンドンがわざとかどうかは、音の内容ではなく「タイミング」で見分けます

騒音に思い悩む女性

上の階から響く音がわざとかどうかを判断するときに見るべきなのは、音の内容ではありません。重要なのは、その音がいつ鳴ったかというタイミングです。

音が大きい、あるいは頻度が高いというだけでは、わざとだとは言い切れません。マンションやアパートの床は、かかとから着地する歩き方をするだけで、下の階に大きく響くことがあります。

つまり、悪意がまったくなくても、強い衝撃音は発生するということです。音を出している本人が、下の階に響いていることに気づいていないケースは、実際にとても多くあります。そのため、音の大きさや回数ではなく、鳴ったタイミングに注目する必要があります。

こちらの行動の直後に鳴る音は、わざとの可能性が高いといえます

夜中の物音で眠れない女性

わざとの可能性が高いケースとして、代表的なものが2つあります。1つは、こちらが物音を立てた直後や、帰宅した直後に音が鳴るケースです。もう1つは、管理会社に苦情を入れた後から、明らかに音が大きくなったケースです。

特に前者は、私共のもとに寄せられる相談のなかでも、非常によく聞くものです。ドアを少し強めに閉めてしまった、椅子を引いた音が響いてしまった。そのようなときに限って、すぐ上から強い音が返ってくるといいます。

こちらの行動に反応するように音が鳴るため、「うるさい」と言われているように感じるというご相談は少なくありません。

生活の時間帯と重なる音は、わざとの可能性が低いといえます

ドラム式洗濯機

反対に、わざとの可能性が低いのは、音の鳴る時間がばらばらで、朝や夕方の家事の時間と重なる場合です。歩き回る音や、物を置く音のパターンに近い場合も、同じように考えられます。

こうした音は、こちらの行動とは関係なく、相手の生活の流れに沿って発生しています。そのため、嫌がらせではなく、日常の生活音である可能性が高いということです。

「わざとだ」と思い込むと、すべての音がわざとに聞こえてしまいます

上の階の物音に悩み、頭を抱える女性

ここで気をつけていただきたいのが、心理的な落とし穴です。一度「わざとだ」と思い込むと、その後に聞こえる音がすべてわざとに聞こえてきます。

たとえば、赤い車が欲しいと思った途端、街中で赤い車ばかりが目に入るようになることがあります。人間の脳には、意識したものを優先して拾う性質があるためです。

これと同じことが、音でも起こります。次の音に身構えている分、以前よりも大きく、不快な音として感じてしまうのです。これは気のせいではなく、誰にでも起きる自然な反応といえます。

まずは音が鳴ったタイミングを冷静に見直しましょう

手帳に記録をとる女性

大切なのは、わざとかどうかを感覚だけで決めつけないことです。感覚で判断すると、先ほどの思い込みの影響を受けやすくなります。

一歩引いて、音が鳴ったタイミングを冷静に見直してみてください。そうすることで、それまでとは違った状況が見えてくる場合があります。

わざとかどうかにかかわらず、やり返しは絶対に避けてください

感情的に言い争う二人

上の階の音がわざとであってもなくても、仕返しだけは絶対にしないでください。やり返しは、状況を悪化させるだけだからです。

「相手がやっているのだから、こちらも天井を叩いて分からせたい」という気持ちは、よく分かります。私共も騒音被害に悩んだ経験があり、当時は同じことを考えました。実際に、天井を叩いてやり返す、いわゆる「天井ドン」をしてしまう方はとても多くいます。

やり返しが危険な理由はシンプルです。天井を叩いた瞬間に、相手へ「下の階から嫌がらせを受けている」という言い分を与えてしまいます。

そうなると、管理会社からは「お互い様のトラブル」として見られるようになります。その結果、もともと被害者だったあなたの訴えが通りにくくなるのです。

さらにエスカレートすると、相手から逆に訴えられたり、警察が介入する事態になったりすることもあります。こちらが責任を問われる側に回ってしまうリスクがあるということです。

実際にあった事例

夕暮れの集合住宅

以前、私共のもとに次のようなご相談がありました。上の階の足音に何か月も悩んでいた方が、ある晩とうとう我慢できなくなり、ほうきの柄で天井を突いて抗議したそうです。

すると翌週、管理会社から「下の階の方から騒音の苦情が来ています」と連絡が入りました。被害を受けているのは自分のほうなのにと、困り果てて相談に来られたのです。

この方は当初、「一度強く抗議すれば、相手も気づいて静かになるだろう」と考えていました。ところが、上の階の住人は「急に下から攻撃された」と受け取り、先に管理会社へ相談していたのです。

その結果、管理会社のなかでは「下の階の住人がトラブルの発端である」という認識になってしまいました。その後、この方が足音の被害を訴えても、「お互い様なので、まずは冷静に」と言われ、取り合ってもらえなくなったそうです。

本来は正当な被害だったにもかかわらず、たった一回のやり返しで立場が逆転してしまったことになります。このようなご相談は、決して珍しいものではありません。

腹が立ったときほど「どうすれば音が止まるか」に気持ちを切り替えましょう

明るい部屋でくつろぐ女性

やり返せば、その瞬間は少し気持ちが晴れるかもしれません。しかし、あなたが本当に望んでいるのは、相手を懲らしめることではないはずです。望んでいるのは、静かな生活を取り戻すことではないでしょうか。

腹立たしい気持ちになるのは当然のことです。だからこそ、腹が立ったときほど一度深呼吸をしてください。そのうえで、「どうすれば音が止まるか」という方向に気持ちを切り替えることが大切です。

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最も安全な解決方法は、数値の証拠をそろえて第三者に動いてもらうことです

騒音と振動の数値を表示する計測器

具体的にどう動けばよいのかというと、答えは客観的な数値データを持って、第三者に動いてもらうことです。ここでは、数値データが必要な理由と、第三者に任せるべき理由を順に説明します。

数値データがあると、感覚ではなく事実の問題として扱ってもらえます

窓口で担当者に相談する女性

数値データが必要な理由は、管理会社や管理組合の立場で考えると分かります。こうした第三者にとっては、あなたも上の階の住人も、同じ大切な入居者や区分所有者(分譲マンションの部屋の持ち主)です。

そのため、片方の言い分だけを聞いて、もう片方を注意することはなかなかできません。上の階の住人から「普通に生活しているだけです」と言われてしまえば、それ以上は踏み込めなくなります。

しかも、音の感じ方は人によって異なります。あなたにとっては耐えられない音でも、第三者には「どのくらいの音なのか」が分かりません。極端にいえば、あなたが音に対して特別に敏感な人である可能性も、第三者は否定できないのです。

しかし、「週に4日以上、深夜11時台に、60デシベルの音が継続的に鳴り続けている」というデータがあれば、話は大きく変わります。感覚の問題ではなく、事実の問題として扱ってもらえるようになるためです。

当事者同士で動くと、感情と感情のぶつかり合いになりやすくなります

玄関のインターホンを押す手

第三者に動いてもらうべき理由は、当事者同士で動くと、どうしても感情的な対立になりやすいからです。あなたは「ずっと我慢してきた」という気持ちでいっぱいになっています。一方で、相手は「急に文句を言われた」と身構えます。

この状態で直接話しても、冷静な話し合いにはなりにくいものです。言い合いになってしまうと、相手が「下の階の人に怒鳴り込まれた」と管理会社に相談する場合もあります。

そうなると、本当は被害者だったあなたのほうが、トラブルを起こした人のように見られかねません。だからこそ、間に第三者を入れて、感情ではなく事実で話を進めることが大切です。

相談の記録は、次の段階へ進むときの土台になります

ノートに騒音の記録をつける女性

管理会社への相談で解決しなかった場合は、次の段階へ進むことになります。自治体の相談窓口や、調停(第三者を交えて話し合う手続き)、弁護士への相談などです。

そのときにも、管理会社に相談してきた記録が、そのまま土台として役立ちます。数値の証拠と相談の記録を積み重ねておくことが、その後の選択肢を広げることにつながります。

上の階のドンドンがわざとに思えるときこそ、数値と第三者で冷静に解決しましょう

青空の下に建つマンション

上の階のドンドンという音がわざとかどうかは、音の大きさや頻度ではなく、鳴ったタイミングで見分けます。こちらの物音や帰宅の直後に鳴る音、苦情の後に大きくなった音は、わざとの可能性が高いといえます。ただし、思い込みによってすべての音がわざとに聞こえてしまう点には注意が必要です。

そして、わざとかどうかにかかわらず、やり返しは避けてください。一度のやり返しで「お互い様」と見なされ、被害の訴えが通りにくくなるおそれがあります。最も安全な方法は、客観的な数値データをそろえ、管理会社などの第三者に動いてもらうことです。

腹立たしさを感じるのは当然のことですが、目的は静かな生活を取り戻すことです。まずは、音が鳴ったタイミングを冷静に振り返るところから始めてみてください。

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